
PHOTO BOOK 物質 -materials- #0
人はもの(物・者)を見たいように見てしまうものだ。存在そのものとして見ることは容易なことではない。写真に撮ることで、ものを状況や観念から引き離し外部化して捉え直せるのではないかと、まずはすでに意味を失ったものをフィルムに写してみようと湾岸地帯に向かった。
かつては広大な干潟だったその埋め立て地には、廃棄物が積み上げられていた。瀬戸内の内港のさざ波は晴天の太陽にきらめき、潮風が廃棄物を腐食してゆく。その塊には、見慣れない機械や、洗濯機や三輪車など、元の形がわかるものもあれば、砕かれ、押しつぶされて原型を留めず、物質という言葉でしか表現できないものもある。役割や意味を与えられて生み出された製品は、その役割を終えたとたんに束縛を解かれ自由になる。意味や観念から遠ざかるほど、物質は実存として立ち上がってくるのだ。